EURO2024パワーランキング│フランス、イングランド、ポルトガル…優勝候補大本命は?

優勝候補フランスは予選で確かな強さを発揮し、1966年大会以来の主要タイトルを目指すイングランドは才能あふれる選手が揃っている。ポルトガルもロベルト・マルティネス新監督の下で印象的な戦いを披露し、スペインとベルギーも実力は十分だ。開催国ドイツも、一時期の不調からユリアン・ナーゲルスマン監督の下で復活の兆しを見せている。

24ジョージア

ジョージアはグループAでわずか2勝しかできず、8試合でわずか8ポイントの4位で終了。しかし、ネーションズリーグ経由でプレーオフに潜り込んだ。そしてパスC準決勝では、ブドゥ・ジヴジヴァゼの2ゴールでルクセンブルクを破り、ギリシャとのPK戦ではニカ・クヴェクヴェスキリが執念でPKを沈め、初の主要国際大会出場を決めている。

ポルトガル、トルコ、チェコとともにグループFに入る彼らだが、決勝トーナメント進出の可能性は低いと言えるだろう。だが、フヴィチャ・クヴァラツヘリア(ナポリ)という、魔法の瞬間を生み出すウイングの魔術師がいることを思い出す価値はある。

23アルバニア

史上2度目のEURO出場を決めたアルバニア。現役時代にアーセナルやバルセロナで活躍したシルビーニョ監督の下、予選の初戦でポーランドに敗れたものの、その後はグループEで7試合負けなしという歴史的な快進撃。チェコに3-0と完勝するなど、21ポイント中15ポイントを獲得している。

エトリト・ベリシャ、エルセイド・ヒサイ、ベラト・ジムシティ、ネディム・バイラミといったセリエAで活躍する選手を擁しているとはいえ、 スペイン、イタリア、クロアチアと同じグループBは非常に厳しい戦いに。3月の国際大会でもチリとスウェーデンに連敗していた。それでも本大会直前にリヒテンシュタインとアゼルバイジャンを下しており、わずかな希望を見せた。

22ポーランド

ポーランドにとって5大会連続となる本大会出場となったが、予選突破はかなり幸運だった。突破が容易に思えるようなグループだったにも関わらず、アルバニア、チェコ、モルドバにアウェーで敗れ、3位で終了。それでもネーションズリーグ経由のプレーオフで名誉挽回のチャンスを得ると、パスAの準決勝でエストニアを撃破した後、カーディフでウェールズをPK戦の末に下している。

ユヴェントスのベテランGKヴォイチェフ・シュチェスニーは、プレーオフ決勝のPKセーブで本大会出場のヒーローとなった。だが、彼が多忙を極めることは予想される。

ナポリMFピオトル・ジエリンスキがリズムを作り、FWロベルト・レヴァンドフスキが最前線をリードすることになるだろう。しかし、35歳のエースFWは予選で3ゴールにとどまった。そして本大会ではオランダ、フランス、オーストリアと同居するなど、今大会で最も厳しいグループを戦わなければならない。

21スコットランド

ワールドカップのプレーオフでウクライナに惨敗したスコットランドだったが、EURO予選で快進撃を見せて2試合を残し本大会出場を決めた。ホームでスペイン代表を、敵地でノルウェーを劇的逆転劇で破るなど、完全に出場に値する戦いだった。スコット・マクトミネイは、予選でアーリング・ハーランドを上回る7ゴールを挙げた他、主将のジョン・マッギンも素晴らしい活躍を見せている。

だが、正直に言えばスコットランドに優勝を争うほどのクオリティや戦力が揃っていないのが現状だ。左サイドバックのアンディ・ロバートソンが唯一のワールドクラスであり、ボローニャで好調だったルイス・ファーガソンの負傷離脱は大きな打撃に。EURO前最後のインターナショナルブレーク中にオランダに0-4と完敗、さらにホームで北アイルランドに0-1と敗れており、かなり競争の激しいグループリーグを突破するのは難しいだろう。

20ルーマニア

ルーマニアは再び台頭しつつあるのだろうか?2018年と2022年ワールドカップ、さらに前回のEUROも出場できなかったが、今回の予選でエドワード・ヨルダネスク監督は素晴らしい手腕を発揮した。予選8試合のうち4試合を引き分けたが、ドイツ行きの切符を手にするためにイスラエルを2-1で下し、スイスも撃破して首位通過と華々しく予選を終えている。

だが直近4試合連続勝利がないことからわかるように、特別に強力なメンバーを擁しているわけではない。ブルガリアとリヒテンシュタイン相手にも得点できず、ゴールから見放されたまま本大会へ向かう。それでも、デニス・アリベク、ヴァレンティン・ミハイラ、そして主将ニコラエ・スタンチュが予選で3ゴールずつを決め、ディフェンスは10試合でわずか5失点に抑えたことは希望だ。

また、ルーマニアは抽選でポット2に入ったことで恩恵を受けている。グループEの2位争い(首位はベルギーの可能性が高い)において、スロバキアとウクライナがライバルになりそうだ。

19セルビア

予選で非常に幸運だっとの疑念を拭い去るのは難しい。勝ち点24のうちわずか14しか奪えず、ハンガリーに2度敗れ、8試合で9失点。しかしスルダン・バビッチのゴールでブルガリアのホームで2-2の引き分けに持ち込み、グループGの2位通過を確定させていた。

だが、2006年に独立して以来EURO出場権を獲得していなかったこの国にとって、本大会出場は歴史的な快挙でもある。アレクサンダル・ミトロヴィッチ、ドゥシャン・ブラホヴィッチ、ドゥシャン・タディッチら質の高い攻撃陣を擁しており、ファンはグループCでデンマークとスロベニアより上位に食い込めるチームだと信じていることだろう。

3月にはロシアに0-4と敗れて不安が広がったが、直前のスウェーデン戦は3-0で快勝。調子さえ整えば、どんなチームにもダメージを負わせる力を持っている。真の強さがドイツで明らかになるのか、注目が集まっている。

18スロベニア

スロベニアはEUROへの自動出場権を獲得するため、最終節まで待たなければならなかった。それでも、3位のカザフスタンに2-1で勝利してデンマークと勝ち点で並び、グループHの首位に。得点数・失点数ともにデンマークを上回ったが、直接対決の成績が劣っていたため2位で本大会へ出場する。だが、ファンが気にすることはないだろう。スロベニアにとって、2024年ドイツ大会は初出場から24年ぶり2度目のEURO本大会出場だ。予選で5得点を挙げたRBライプツィヒFWベンヤミン・シェシュコが本大会でインパクトを残すことを期待しているだろう。

だが、イングランド、デンマーク、セルビアのグループを突破するのは非常に困難だろう。シェシュコはもちろんだが、それ以上にアトレティコの守護神ヤン・オブラクが重要になりそうだ。それでも、3月にはポルトガルに勝利しており、決して侮れない相手であることは証明している。

17スロバキア

はっきり言うと、スロバキアはドローに恵まれた。グループJで2位を争う相手がルクセンブルクだったという事実がそれを証明している。しかし、イタリア人のフランチェスコ・カルツォーナ監督は2022年11月に就任して以来、素晴らしい仕事を見せてきた。だからこそ、ナポリがシーズン終了までの暫定指揮を託したのだろう。

スロバキアは合計で勝ち点22を集め、ホームとアウェーではポルトガルに敗れたもののいずれも1点差の好勝負。パリ・サンジェルマンDFミラン・シュクリニアルとナポリMFスタニスラフ・ロボツカという2人のトップクラスの選手がおり、組み合わせも悪くない。グループE本命はベルギーだが、ルーマニア、ウクライナと2位を争うことになる。

16チェコ

10人のモルドバに3-0で勝利し予選を突破。順当に見えたが、ピッチ外では問題も続出した。キックオフのわずか24時間前、夜間外出禁止令を破ってナイトクラブに出入りした3人を帰宅させると、試合後には自身も辞任を発表。「試合前から決めていた。重圧はすでに大きくなり、時には理解できないこともあった。これも決断の一因」と説明している。

その結果、EURO2024開幕まで7カ月前という時期に新しい監督を探す必要に迫られた。そして1月4日、10年以上前に5試合指揮を執ったイバン・ハシェックが復帰することが決定。2022年にレバノン指揮官を解任されて以来フリーとなっていたが、親善試合3連勝と順調な滑り出しを見せている。トルコ、ポルトガル、ジョージアを含むグループリーグを突破する可能性に静かな自信を持っていることだろう。

15スイス

予選のエキスパートであるスイスは、過去20年間で主要な国際大会に出場できなかったのは1度だけ(EURO2012)。バーゼルでコソボと1-1で引き分けたことで、ドイツ行きの便を手にしたのだ。しかしこの結果が示すように、予選で印象的なプレーを見せたとは言いがたく、開幕3連勝の後、6試合中5試合で引き分け。首位通過をかけた天王山ではルーマニアに0-1で敗れている。

それでも、ベテランGKヤン・ゾマーは欧州5大リーグ屈指の活躍を見せ、ファビアン・シェアとマヌエル・アカンジはプレミアリーグで実力を証明、グラニト・ジャカが統率する中盤も経験豊富であり、ジェルダン・シャチリは未だ創造的であり続けている。そしてゼキ・アムドゥニは、ゴールスコアラーを求めるファンの願いに応えようとしている。

スイスがEUROで優勝する可能性は低いだろう。だがドイツ、ハンガリー、スコットランドにとっては、厄介な相手になりそうだ。

14ウクライナ

戦火に苦しむ中で国内で試合が開催できず、全試合を国外で戦うことを強いられたウクライナ。それでも本大会出場権を獲得できたのは称賛すべきだ。

予選の大一番でイタリアに敗れ自動出場権を逃したが、ボスニア・ヘルツェゴビナとアイスランドを破り、ネーションズリーグのプレーオフ・パスBを経て本大会への出場権を獲得。見事なメンタリティを証明した。

予選突破によりロシアの侵攻で壊滅的な打撃を受ける国民を勇気づけることができたが、今や決勝トーナメント進出の可能性も十分にあると言っていいだろう。グループEの首位候補がベルギーであることは明らかだが、スロバキアもルーマニアも彼らを決して侮れない。レアル・マドリーで大活躍のGKアンドリー・ルニン、アーセナルMFオレクサンドル・ジンチェンコ、チェルシーFWムハイロ・ムドリクと、トップレベルの選手の活躍に期待だ。

13トルコ

予選でアルメニアと1-1の引き分けに終わり、3大会連続のEURO出場への希望は絶たれるかに思われた。しかし日本に親善試合で2-4と敗れた後、ステファン・クンツ前監督の解任を決断。すると後任のヴィンチェンツォ・モンテッラ監督の下、クロアチアに1-0と勝利すると、ラトビアにも4-0で快勝。モンテッラはトルコで主要大会の出場権を獲得した初の外国人監督に。監督交代が功を奏すことになった。

しかし3月、オーストリアに1-6と大敗したことでモンテッラ解任論も囁かれることに。それでも先週にはイタリアとスコアレスドローを演じ、非常識な声は消えつつある。ポルトガルを抑えてグループF首位通過は難しいが、チェコとジョージアを上回る可能性は十分あるはずだ。

12ハンガリー

ゴール直前でつまずくことが続いていたが、2022年のワールドカップ出場を逃して以来、信じられないような進歩を遂げたことは否定できない。マルコ・ロッシ率いるチームはブルガリアと2-2で引き分け、3大会連続のEURO出場を決めた。

グループ最終戦で2ゴールを挙げてモンテネグロ相手に3-1の勝利に導いたドミニク・ソボスライが、この国最大のスターであることは間違いない。ハンガリーはアイルランド戦で意外な形で終わるまで、14試合無敗記録も達成している。本大会前最後の試合でも、イスラエルを圧倒していた。本大会でもドイツ、スコットランド、スイス相手に恐れるものはなにもないだろう。

11デンマーク

ラスムス・ホイルンドの台頭は、デンマークが2022年ワールドカップでグループステージ敗退という悔しさを晴らすのに大きく貢献した。ダークホースと囁かれた中で、カタールでは1ゴールにとどまり勝ち点1で敗退。今回のEURO予選も、カザフスタンに2-3で敗れるなど厳しい戦いもあったが、最終的に1試合を残して予選を通過している。

予選最終戦での敗戦によりカスパー・ヒュルマンド監督への疑問の目は向けられ続けたが、直近のスウェーデンとノルウェーに対する勝利は、デンマークがグループCの2位候補であることを証明するものだ。イングランドを抑えることは難しいが、スロベニアとセルビアを上回る可能性はあるはずだろう。

10イタリア

王者はタイトル防衛のチャンスを手にしたとはいえ、予選通過はギリギリだった。グループCでイングランドに次ぐ2位に入るため、ウクライナとの最終戦では勝ち点1が必要。この試合をスコアレスドローで終えている。だが、ブライアン・クリスタンテがボックス内でミハイロ・ムドリクを倒したシーンで、VARが介入しなかったのは非常に幸運だったと言える。

もちろん、そんなことルチアーノ・スパレッティは気にしない。カタール・ワールドカップ出場を逃したイタリアにとっては、予選突破がすべてだった。EURO2020でイタリアを栄光へと導いたロベルト・マンチーニがサウジアラビア代表の指揮を執るため電撃辞任、急遽後を任された彼にとっても、予選突破が全てだったのだ。

スパレッティは、イタリアが優勝候補の一角と見なされていないことをよく理解している。スペイン、クロアチアと同組であればなおさらだ。だが、ニコロ・バレッラ、フェデリコ・キエーザ、フェデリコ・ディマルコ、アレッサンドロ・バストーニといった優秀な選手は揃っている。さらにジャンルカ・スカマッカが華々しくシーズンを終えたことで、国際レベルでの爆発にも期待がかかる。

そして何よりも重要なのは、スパレッティがナポリでの歴史的なスクデット獲得で過小評価されているチームにも奇跡を起こす能力があることを示したことだ。しかし、ワールドクラスと胸を張って言えるスターがいない中、自分のアイディアを落とし込むためには時間が足りないとの懸念も強まっているのが現状だ。

9クロアチア

10月にトルコとウェールズに連敗したクロアチアにとって、事態は厳しいものになりつつあった。キャプテンのルカ・モドリッチも「こんなに悪いのは久しぶりだ」と認めている。しかし、ズラトコ・ダリッチ監督率いるクロアチア代表は回復力があり、ラトビア戦とアルメニア戦の2試合で勝利を収め、グループDの2位に食い込んだ。

モドリッチやマルセロ・ブロゾヴィッチ、アンドレイ・クラマリッチなど数多くの主力が30歳オーバーと、疑念は残る。それでもモドリッチ、ブロゾヴィッチ、マテオ・コヴァチッチは今大会屈指の中盤トリオであるだろう。さらにヨシュコ・グヴァルディオルはマンチェスター・シティで目覚ましい活躍を残した。

これまで国際大会で予想以上の躍進を見せてきたクロアチア。スペインとイタリアと同居するグループステージは簡単にはいかないだろうが、再び期待以上の結果をの見せてくれるかもしれない。

8オーストリア

ラルフ・ラングニックの下、ネーションズリーグ2部降格という厳しいスタートを切ったオーストリア。それでも予選では全く違った姿を見せ、マルセル・サビッツァーのPKによりアゼルバイジャンを1-0で下し、3大会連続でEURO出場権を獲得した。

キャプテンのダビド・アラバをケガで失い、ベルギーとの2試合で勝ち点1しか取れなかったことから優勝候補に挙げる声は少ないだろう。だがラングニックは結果を出しただけでなく、エキサイティングで拡張的なアプローチを採用したことで称賛されている。その結果、前任のフランコ・フォダ監督の下で見飽き飽きしたチームを、ファンは再び愛するようになったのだ。確かに、親善試合でトルコを6-1で下した試合はワクワクするものであった。

フランス、オランダ、ポーランドと同じグループは厳しい戦いになるだろう。だが、間違いなく彼らのスタイルで本気で戦う姿を見ることはできるはずだ。

7オランダ

予選でフランスに0-4、1-2と破れ、最高のチームではない問い現実を突きつけられた。しかし結局のところ予選突破が第一の目標であり、アイルランドに1-0で勝利したことで1試合を残して目標は達成している。

オランダはクオリティーが高いことは間違いない。コーディ・ガクポはワールドカップで傑出していたし、シャビ・シモンズは過去10年間でオランダから生まれた最もエキサイティングなタレントのひとりだ。主将フィルジル・ファン・ダイクも、その輝かしいベストの状態に近づいているように見える。だが、ストライカーには不安も。メンフィス・デパイは代表戦で傑出しているが、クラブでは好不調の波が激しい。ボウト・ベグホルストも最高レベルで信頼できる点取り屋ではないだろう。

そのため彼らが本当の強敵に立ち向かえるかどうか、フランス、オーストリア、ポーランドと対峙するこのグループステージでわかるはずだ。

6スペイン

ルイス・デ・ラ・フエンテの手腕は大いに評価されるべきだろう。サポーターや評論家の中には、この元U-21代表監督には代表チームを率いるトップレベルの経験がないと主張する者もいた。しかし、6月にネーションズリーグのトロフィーを手にした後、ラ・ロハはグループAで6連勝を飾り、ノルウェーで1-0の勝利を収める前にスコットランドにリベンジを果たし、予選突破を決めた。

3月の親善試合でコロンビアに1-0で敗れ、ブラジルと3-3のドローに終わったように、スペインは完璧とは言がたい。王者イタリア、常に危険なクロアチア、そしてサプライズ枠のアルバニアと同組になり、簡単な戦いとはならないだろう。ガビの離脱も大きな痛手だ。

だが、将来を担うペドリとラミン・ヤマル、無敵のロドリ、好調ミケル・オヤルサバル、そしてキャリアハイを過ごすアルバロ・モラタなど、楽しみなタレントは多い。

5ドイツ

EURO2024に向けたドイツ代表の準備は「計画通りに進んでいない」と言えば、とんでもなく控えめな表現だろう。2022年ワールドカップで惨敗、2023年最初の6試合で4敗と完全に崩壊。日本に敗れた後、ハンジ・フリックの解任に至った。

暫定監督のルディ・フェラーはその後、ドイツ代表を率いてフランス代表との親善試合で士気を高める勝利を収め、ユリアン・ナーゲルスマンは新指揮官としての最初の2試合でアメリカ代表に勝ち、メキシコ代表に引き分けた。11月のトルコとオーストリアとの親善試合での敗戦は大きな痛手となったものの、3月にはフランスとオランダを破ったことで、良い方向に向かっていることは確かなのだろう。

マッツ・フンメルスの招集外は驚きだったが、ドイツに経験が不足しているわけではない。アントニオ・リュディガー、ヨズア・キミッヒ、イルカイ・ギュンドアンは最高レベルの知る選手であり、この大会が現役最後の舞台であるトニ・クロースもいる。ジャマル・ムシアラとフロリアン・ヴィルツは次世代を担うスーパースターだ。

しかし、唯一の懸念はストライカー。ニクラス・フュルクルクが16試合11ゴール、カイ・ハヴァーツがアーセナルで調子を上げたが、絶対的な存在ではないだろう。グループステージでこの課題に対する答えを見つけ、弾みをつけられるだろうか。

4イングランド

サッカーは最後には「母国」にたどり着くのだろうか。だが、今回のEUROで戻ってくることはありそうにない。才能溢れる選手は多く、前回準優勝の経験もあるが、難しいだろう。

ウェンブリーでイタリアに逆転勝利を収めて2試合を残して予選突破を決めたが、マルタ戦と北マケドニア戦という2つの悲惨なパフォーマンスで予選を終えた後、主にガレス・サウスゲート監督を取り巻くいくつかの疑問が残っている。それは3月のブラジル戦に敗れ、ベルギーと運良く引き分けたことで痛いほど証明された。強豪相手の戦績は心配なほど悪く、その保守的な姿勢も批判され続けている。

しかし、ジュード・ベリンガムとハリー・ケインが万全であれば、組み合わせを考えれば準決勝にはたどり着けるはずだ。日程的な面でもライバルより有利と言えるため、そこから先に何ができるかをチームとして見せたい。

3ベルギー

2022年ワールドカップは完全に大失敗だった。大会前に、事実上、高齢を理由に多くのチームメイトが代表に選ばれなかったことで、スター選手のケヴィン・デ・ブライネがかなりの論争を引き起こした。するとロッカールーム内での分裂が避けられなくなり、そのことが大きな要因となってグループステージ敗退という恥ずべき結果になったのであった。公平を期すために言うと、ロメル・ルカクのシュート精度が低かったことも要因のひとつではある。

しかし、ローマFWは予選で記録的な14ゴールを挙げて復活。ドメニコ・テデスコ新監督もチームを若返らせるために素晴らしい仕事をしており、ロベルト・マルティネスの後を引き継いで以来、無敗を続けている。ルーマニア、ウクライナ、スロバキアと組み合わせにも恵まれたのも確かだ。グループステージ突破以降、決勝トーナメントで勝ち切るメンタリティを見せたい。

2ポルトガル

ワールドカップの惨敗でフェルナンド・サントスからロベルト・マルティネスへ指揮官が交代してから、これほどまで良い状態はなかっただろう。

ポルトガルはEURO2024予選で10戦全勝、36ゴール(クリスティアーノ・ロナウドとブルーノ・フェルナンデス合わせて16ゴール)、わずか2失点。その豊富な攻撃オプションを考えれば、完全な優勝候補と言わざるを得ないだろう。

予選突破は問題ないはずだ。だが、予選グループが簡単だったこと、親善試合でスロベニアとクロアチアに敗れたことは指摘する勝ちがある。またベルギー“黄金世代”を無駄にしたマルティネスがメジャーな大会で結果を残せるかどうかも未知数だ。

それでも経験豊富な選手と才能ある若手選手、全盛期のトップレベル選手が素晴らしいバランスで揃っており、タイトル獲得のために必要なものは揃っているだろう。

1フランス

ドイツ相手に連敗、カナダと0-0の引き分けと、親善試合の結果は芳しくないだろう。だが、フランスは現時点でヨーロッパ最高ランクのチームである。ディディエ・デシャン監督のチームには弱点もあるが(監督の実利主義もその1つ)、選手層は世界屈指。ポテンシャルあふれる若手と、あらゆる経験と勝利を収めてきたベテランが最高の形で融合している。

ファーストチョイスの9番、オリヴィエ・ジルーはやや老齢ではあるが、3-2でチリに勝利した親善試合ではその不朽のクオリティをタイムリーに思い出させてくれた。さらに彼の控えには、マルクス・テュラムとランダル・コロ・ムアニがいる。GKマイク・マイニャンは奇跡のような働き者だし、ディフェンス陣もウィリアム・サリバが世界最高峰の1人として台頭、中盤は世代交代を象徴するウォーレン・ザイール=エメリの台頭ですでに強力になっており、リンクマンのアントワーヌ・グリーズマンは絶好調、キリアン・エンバペは単純に世界で最も恐ろしいアタッカーだ。

ホームとアウェーでオランダを見事に破った2022年ワールドカップ準優勝国は、ドイツでオランダと再び対戦することに何の不安も抱かないだろう。現時点で、優勝候補大本命は間違いなくレ・ブルーだ。

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